初恋の相手は父親だった。

私は父親のことが好きだ。

それはもう物心ついたとき、幼稚園の頃から好きだった。

仕事にも時々ついて行っていたくらい好きだった。

今までカッコいいなと思った男性は、父に似ている傾向があった。

以前働いていた職場の上司に、それを指摘されて気づいた。

 

彼氏も父に似ていると思う。

父方の親戚にも、「若いときのお父さんに雰囲気が似ているね」と言われた。

痩せ型で、身長は高い方ではなく、黒髪で、スーツを着ている男性を見ると、若い頃の父を思い出す。

好きと懐かしさと安心感が入り混じったような感情だ。

 

私には、10年以上父と顔を合わせていなかった時期があった。

父と顔を合わせなくなった理由は、「もうお父さんと喋っちゃだめだよ」と母に言われたからだ。

それまでの20代〜30代半ばまでの父が、とても記憶に残っていて懐かしく思い出される。

 

50代となった現在の父も、優しくていつも私のことを気にかけてくれる。

でも、若かった父が急に年をとって目の前に現れた感じもして、少し違和感がある。

父の声も性格も変わってはいない。

過去の父と、現在の父がうまく自分のなかで結びつかないような感じがする。

今ではだいぶ慣れたけど、やはり顔を合わせようとしなかった空白の期間は、自分のなかで大きかったのかもしれない。

 

しかしいま思うと、よくもまあ母に言われたことを、忠実に頑なに守っていたものだ。

私は頑固で融通がきかず、一度決めたことを変えるのが苦手だ。

過ぎ去った月日は、あとからいくら悔やんでも取り戻すことはできない。

母の言うことにいつまでも囚われてしまっていた。

私と違って弟たちは、変わっていく状況をきちんと理解して対応できていた。

私も弟たちみたいに、父と顔を合わせて話をして、時々会うことで一緒に年月を重ねていくことができていれはよかった。

 

父に怒られた記憶は、思い出せる限り、全くない。

「机の上に肘をついて食事をしてはいけない」「寝転んでいる人をまたいではいけない」「新聞や文字の書いてある物を踏んではいけない」といったマナーについて注意された覚えがあるくらいだ。

父は「紋ちゃんたちが元気に過ごしていることが、いちばんの幸せ」だと言ってくれる。

だから私も父に心配かけないよう、元気に楽しく過ごしていきたい。

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愛知県一宮市在住。契約社員として働いています。1985年7月30日生まれの33歳。 食べることが大好き!本を読んだり、旅行をしたり、色々な体験をすることが好きです。