【書評】米澤穂信/著『本と鍵の季節』感想

こんにちは、上田紋です。

今回は『本と鍵の季節』を読み終わった感想です。

図書委員の男子高校生ふたりが、放課後の図書室に持ち込まれる謎を解決していくミステリ短編集です。

読みやすくて面白かった!

 

『本と鍵の季節』概要


『本と鍵の季節』
■著者:米澤穂信
■出版社:集英社
■頁:304頁
■定価:本体1,400円+税
■発売日:2018/12/14

堀川次郎は高校二年の図書委員。
利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。
背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。
そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。

放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!
>>集英社文芸単行本公式サイト「RENZABURO」より

 

本書を読んだきっかけ

先日、観戦した「ビブリオバトル in フラリエ」で紹介されていました。

関連記事:【サン・ジョルディフェスティバル名古屋2019】「ビブリオバトル in フラリエ」を観戦してきました!

紹介された6冊のうち、私がいちばん読みたいと思った本で、チャンプ本にも選ばれていました。

「図書室ミステリ」というテーマにも惹かれた。

全6話が収録された短編集で、読みやすそうだったので購入しました。

米澤穂信さんの本は、『満願』と『儚い羊たちの祝宴』を読んだことがあり、どちらも短編集で読みやすく面白かった。

 

感想

この本のなかで、僕(堀川次郎)は異質な存在だ。

僕は嘘をつかないし、正しいことを正しいと言う。

他の登場人物たちは、嘘をついたり、騙したり、欺いたり、偽ったりする。

自分の本当の目的を隠して、僕と松倉に頼みごとを持ちかけてくる。

 

僕は賢く切れ者で、嘘を暴く。

同時に、僕の正しさは人を傷つける。

正しさのあり方っていったい何なんだろう。

正しいことも、人と状況によっては正しくないのか。

正しいことをした人が責められるのはつらい。

自分の目的のために嘘をついたり偽ったりする人が、私はあまり好きではない。

何て身勝手でずる賢くて自分のことしか考えてないんだーと思う。

 

僕に頼みごとした人物のなかで、松倉がいちばんある意味たちが悪い。

松倉は明確な嘘はついていない。

でも確かな本当のことはぜんぶ言ってないし、僕の思考を誘導して偽ろうとしているところがある。

その偽りも僕なら見破って、真実に辿り着くかもしれないと思っていた。

読み終わって、本当に「これは図書委員の僕らの推理と友情の物語」だと思った。

僕にとって、松倉は大切な友達であり続けた。

 

以下、全6話の感想。

913

怖かった。

自分の欲のために、人を欺いて嘘をついて騙して、平気なのだろうか。

罪悪感で私なら潰れてしまいそうだ。

でも結局目論見は破れてしまったわけで、自分のしたことの報いがこれから返ってくるかと思うと恐ろしい。

913の意味は読み進めるうちに分かって、なるほどと思った。

 

ロックオンロッカー

僕と松倉の関係性が良い。

僕と松倉は、ほぼ同じことを考えていたに違いない。
(中略)
だけどあいにく僕たちは、それでも「俺たちそれほどわかり合ってるか?」と言われたら、黙って首を横に振るしかない。
認識を共有できているという感覚はあるくせに、やっぱり言葉で確認しないわけにはいかないのだ。

こういう関係は素敵だなと思う。

真相は思いもよらなかったもので、びっくりした。

 

金曜に彼は何をしたのか

窓を割った人物は誰か、そして意外な理由だったので驚いた。

でも人によって、何が重要なのか、何を優先するのかは違っている。

彼にとっては、学校の窓ガラスを1枚割ることで、目的は達成できた。

でもそのために他の人物が犯人ではないかと疑われてしまった。

彼には謎が多い。

 

ない本

人は本当の目的をはっきりと伝えないから厄介だと思った。

自分の目的が暴かれるのが嫌なら、最初から嘘をついてまで頼まなければいいのに。

 

昔話を聞かせておくれよ

宝探しをテーマに、僕が語る昔話と、松倉が語る昔話。

僕と松倉は、似ているようで対照的だ。

 

友よ知るなかれ

最後のエピソード。

「昔話を聞かせておくれよ」の真実が明かされる。

やっぱり僕はいい奴だ。

僕の優しさによって、松倉は少し救われたのではないかと思う。

僕と松倉のその後の物語がもっと読みたくなった。

 

まとめ

今回は米澤穂信さんの『本と鍵の季節』を読み終わった感想でした。

いやー面白かった!

最近ミステリ小説が読んでいてすごく面白い。

読んでいてわくわくする。